チョコ、チップス、キャンディー、ビーンズ…
グリフィンドール寮の一角、思いつく限りのお菓子が談話室のテーブルの上に所狭しと並べられる。
その横で課題を広げていたのはハーマイオニーで、いらいらと羊皮紙をかき集めた彼女は手あたり次第 お菓子をほお張る元凶のロンを思い切り振り返った。

「ちょっとロン」

ぐっとしかめられた賢そうな形の眉と同じ色をした、ふわふわとした髪がいつも以上に膨らんで見えるのは気のせいじゃないだろう。得意の「お説教」が始まる前兆である。

「そんなにお菓子ばっかりむしゃむしゃ食べて、いい年して恥ずかしいと思わないわけ」
「あーはいはい、いい年してお菓子ばっか食べててスミマセンねと」

こちらも毎度のことながらむっとした顔で言い返す。

「育ち盛りだからむちゃくちゃ腹が減るんだよ」
「だったら夕飯まで待てばいいでしょう。たんに我慢が足りないのよ」
「我慢が足りなかろーが何だろーが、腹が満たされるんならいいんだよ」

減らず口を叩くロンに対し、ハーマイオニーは嘆かわしいと言わんばかりに頭を振る。

「たまには口ばっかり動かしてないで、本の一冊でも読んでみたらどうなの。でなけりゃ、頭の中身が今にゼリー状になって溶けるわよ」
「そういうハーマイオニーこそ、チョコレートでも食べたらどう?甘いものはストレスに効くらしいし、少しゃ角が取れて女らしくなれるんじゃねーの」
「失礼ね!!虫歯だらけになって痛さで泣き喚こーが知らないわよ!」
「へいへい、余計な心配ごくろーさん!」
「な──!」

顔を真っ赤にしたハーマイオニーがさらに何かを言い募ろうと口を開いた瞬間、 タイミング良く甘いものが舌の上に放り込まれた。
思わず口を閉じれば、それを放り入れたロンはそのまま人差し指で彼女の唇を塞ぐ。


「甘い?」


聞かれても、口の中で溶けるチョコの味など感じられず。
かわりに全神経が一点へと集中する。

ふいに、ロンはにやりと笑った。

「あ、ほら、静かになった」




…その後、ハーマイオニーが激怒したのは言うまでもない。