彼は透明なフィルターを持っている、間違いない。とゆーわけで今日も今日とてちっさい脳みそをふりしぼって思考するのだ。
「ねえリーマス」
さあ立ち上がれ、私の脳細胞ども!
「ん?」
「いい天気だね〜…クィディッチ頑張れって感じ?」
「試合は明日だよ?」
「…!」
(じ…自分がんばれよ)
妙な敗北感に打ちひしがれて壁と仲良くしていれば後ろからやって来たリリーが笑いながら私の頭を叩く。
「あはは、あんたバカね」
やめて下さい脳細胞減っちゃいますから。ええ、自覚はしてますから。
このところリーマスが、なんとなーく元気がない事実。少なくとも私とリーマスはそんなに浅い仲じゃないから、そう。気付いてる。その普通なら見落としてしまいそうな微細な変化に。…いや逆だ。普通なら気付かないで見落とすのに、気付かざるを得ないような微妙さが私とリーマスの間に横たわっている、が正しい。
友達になって近づいて、更に仲良くなって不可視の壁にぶつかった。壁ははじめそうと気付かないほど柔いので、優しく弾力して私の立ち位置を遠くする。じょじょによそよそしく。まあ、そんな状況。
どうしてだろうな、近づくほど色んな言葉をかけてあげられると思っていたのに始めの頃の方が言ってあげやすかったなんて。中途半端な距離が私から言葉を奪う。かといって後退することもできず、更に踏み込めれば可能になるのだろうか。
(おバカな3人がうらめしい)
「あー私も男に生まれたかった」
「別に女のままでいいんじゃん?」
そのセリフ、リーマスに言われたなら泣いて喜んだのに彼女持ちに言われたって嬉しくねーんだよそこのバカップル!
ああもうリーマスに近づこうととか考えるのやめよう。投げやりに思ってふいに悲しくなった。人間は相対する心を同時に持つらしい。そんなこと知っても確かに気休めにはなるけれど効果はないものだ。つまりは、こんなにもリーマスにこだわる私の気持ちはそう、なのだ。
だから探している。
「あのさリーマス」
「うん?」
「例えば落ち込んでいる人がいて、私はその人に唯一の言葉を掛けてあげたいと思うし、それが無理な時は外側からこう、包むように?見守っててあげたいなーなんて思ったりしてるんだけど」
彼の、フィルターを通ることができる光になる方法を。
とりあえず「それって準告白じゃね?」と言ってきたシリウスの首はものすごい勢いで絞めておきました。