日曜日の、宵の半ばで、談話室のソファーの端と端に座ってなんとなくぼんやりしている。無意識だったけれど、
そうやって時間が、割と経ったと思う。私はソファーのこっち側で膝を立ててまあるくなって、冷たいプリンをちびっとずつすくいながら
食べていた。そのもう片側の、少し離れた場所では同じく丸くなったピーターが、低いテーブルに参考書を2,3冊積み上げて、
何かを書いては消し、書いては消しを繰り返している。
「それ、課題?」
「ううん、違うよ」
「でもやってんだ」
「うん、まあね」
ふーん、偉いね、とかどうとか。あまり気のない返事を返して、再びもしゃもしゃとプリンを食べる。(ちなみに小さな礼儀上彼にもプリンを
勧めたが、いらないというので1個余分に置いてある。)
暖炉の残り火がぱちぱちと小さくはぜてほんのりと暖かい空間を作り出し、決して眠くはないけれど、シーツをかぶればすぐに眠れそうな心地
よいけだるさに全身が覆われた。特別な理由はないけれどただダラダラとここに居たら、2人になっていたという話。
「あ」
暖炉の上の掛け時計に目をやれば、ちょうど12時を回ったところで。
「あーあ、もう今日になっちゃった。起きれるかなー」
「うーんそだね、でも、まあいーや」
一体何がいーやなのか、私の気のない独り言にわざわざ返事をくれたこの少年も私も、こと成績や出席遅刻に関していろいろ優秀とはいえない。
けれど妙に今のセリフで、なぜ彼があの何かと華やかな3人と一緒に居るのかわかった気がして、私はおかしくてちょっとだけ噴出した。
それに気付かなかったのか気にしなかったのか、ピーター少年は急に大きな息をついてうめくとべったりとテーブルに頬をつける。
「ダメだ、わかんないや」
横目でちらりと、その様子を見てみれば投げ出された腕の間からのぞく”変身”という文字の本の背表紙。うーん。そんなにわからないのなら、
あの頭の良いお三人のご友人らに聞けばいいのに。そう思って、何とはなし尋ねてみた。
「そういや三人のお友達たちはどーしてるの?」
「たぶん疲れたみたいだから、今日は寝てるんじゃないかな」
(たぶん、今日は、って)
おいおい、じゃあいつもは何してるんだかとわかりきった突っ込みを内心で入れながら、動く気力もなくてんーと天井をしみじみ見つめた。
「でも、まあ、大丈夫よ。きっとわかるって」
そう言って頑張れ、って辞令的な発言で、気を取り直したのかどうか、ピーターは身を起こしそうだねと、ぱらぱら本をめくりだす。
そうして再び書いては消し、書いては消しする音と、小さく薪がはぜる音にけだるく包まれて、私ももしゃもしゃとプリンを食べ続け。
(あー、なんかいいかも)
このゆるい暖かさと、まどろんだBGMと、決して一人ではない事のぬくもりと距離感──さらに言うなれば、ここに居るのがピーター少年という、良い意味での、絶妙な存在感が非常に心地良いと思う。
そうしてなんとなく、今という時間がずっと続きそうな錯覚にゆるりと酔いしれながら、おそらくはお互いが動くまでは、こうして居続けるんだろうと
いう時を、只管過ごし続ける。
※アンフィーバー(超造語)
実はピーターが結構好きだっていう(私が)