(15歳位設定)
「蜜柑ちゃん、君って子は本当に」
そう怒っているような叱っているような、咎めるようではあるけれど優しい声音で鳴海は言葉を発した。
白い机を挟んで目の前の蜜柑は、怒られている事実にやはりうなだれて腰掛けている。
蜜柑の顔にかかる髪の陰から、見えないけれど手や足やらにも痛々しく絆創膏ないしガーゼが貼られているのを鳴海は知っていたので。
「昔っからそうだけど、あんまり無茶しちゃあダメだよ?」
女の子が傷だらけなんていけないよ〜、と決して憎くて言ってるんじゃないとわからせるように、
淡く笑ってあげながら。でも万一、可愛い顔に全身に傷が残ったらどうするんだろう!と見当違いなことを鳴海はわりと本気で考えた。
保護者的な親バカ心とでもいうのか、もしくは。
ともかくも、こうして目を離せば一人傷だらけになっている姿は彼女の母親を不意に彷彿とさせた。
同時にあの時感じていたもどかしさも、感情の中に喚起される。
ふと何とも形容しがたい気持ちで蜜柑のことを見つめれば、同じように彼女も鳴海のことを見つめていた。
「──ごめんなさい……」
まっすぐとした、今でも記憶に鮮明なあの人と同じ目をして、でもその彼女では決して有り得なかった反応を得てぐっと、鳴海の中を強く駆け巡った感情は一言では言い表せない。
とにかくそれらの全部を、勝手にケガしちゃダメでしょう、に意味不明に集約させて鳴海は納得した。
いっそそんなにおイタが過ぎるなら鎖でつないじゃおうか?
なんて、何かそれってただの変態だろう、って素で思考してしまった自分に鳴海は悶々と頭を抱えた、とかないとか。