「ねーみっちゃん」
(……今度はみっちゃんと来たか)
覗き込んできた双眸が猫みたいに可笑しげに揺れる、わーすごい顔してら、と。ほんと何も言わなくても判りやすいなーと
面白そうに、そのくせ水のような冷たさを器用に湛えて言ってくるその顔に見とれたりなんてしない。
「みっちゃんはやめろ」
「じゃ、みっくん」
「…おまえな」
はなから答えが用意されていたかのような即答、掛け合い、面白そうにしていた顔は気まぐれにすぐ、その色を変えて
みせるから。
いけないんだと思う。
まるで見るものを追いかけさせるみたく、それはして。一瞬でも逃してはいけないもののようにでも、惜しむべきものの
ようにでも、突き付けてくるのは。こいつが生まれ落ちて身につけていたものなのか。きっと、そうなんだろうけれど。
だとしたらよっぽども性質が悪いんだと絶対的に切望するように、思う。
「じゃあサボテンにみっくんとでもつけよっかなー」
「それは、」
なかなか可愛いかもしれない、と反射的に思いかけて、
いや違うだろうと同じ速さで思い直した。
手をかけて色々と育てていた中の、こいつが何が気に入ったのかは知らないが、丸くふてぶてしく、不格好に鎮座する
サボテンを欲しいと言ってきたのはつい最近のことだ。そんなのだって自分にしてみれば充分、可愛い子どもみたいな
ものなんだけれども。
そもそもが生き物育てるのめんどいとか言うような奴がどんな心変わりかと実際思って。
サボテンの手のかからなさにはどこか納得もゆくが、本人の曰く、とげとげしい所が気に入ったのだとかいう訳のわからない
ことを言っていた。実にわけがわからない。
「サボテンはみっくんにするよ、可愛いっしょ?」
笑って、同意を仰ぐより見透かすようにそう言う、まるで知ったふうな顔で見てくるから急に、不意に落ち着かなくなる。
何だか不本意で、歯噛みした、面白くないと思う。だってそんな風に。
判りやすい、と言われることがたまに、どれほど苛立つかこいつは知ってるんだろうか、俺はそういうお前が
時に、よっぽどわからなくなる。
そうだ今度いい肥料ちょーだいと思いつきのように言われて俺はやっぱり嫌な顔をして、でも結局はこいつの思うよう
に動いてしまうんだろう、間接的にはサボテンのためだけれど。そんなこともわかった上で、岬チャンのそーゆーとこが
好きだよと平気で言ってくるさまにもこの野郎と言いたくなる、いつも。
わかったと思わせたらまたわからなくなって、そうやってまるで追っかけたくなるこいつの性質の悪い所も、
目を離せなくさせるような行動も急に植物を育てたいとか言い出したことへの、
理由を迂闊に錯覚させることも何気ない瞬間、鳴海の部屋の窓際に置いてあるんだろうサボテンにふと思いを馳せてしまう、自分も
何もかも。
全部ひっくるめて、いつもいつだって実は。
本当は大声で、叫びたくってしょうがないのだ、俺は別に、
決してお前のことが、
──好きなわけじゃないんだと。
本当は大好きなんですよ