■■信じてはいけませんよ?






 ひたすら一点を見つめ、足を組み、指はテーブルの上をカタッカタッカタッと音を鳴らし、明らかに苛立ちを隠し切れない様子でソファに腰掛けるその人物は、フクナガユウジであった。
 その理由は明瞭。己の欲が通らなかったからである。

『ここで引き分けにしたら、もーっと、大もうけができるんですよ!』

 ……憎たらしい。
 思い出せるのは、小娘の無邪気な笑顔。
 アレに騙されたとは、自分もなかなか神に見くびられたものである。

 これはライアーゲーム。
 人を騙してなんぼの世界。

 24連装ロシアンルーレットでの勝負は、フクナガに軍配が上がっていた。相手の弱みにつけ込んだ、どちらかと言えばフクナガにとって得意な戦法を駆使した完全に近い勝利。──に、なるはずだった。
 それをみすみす失うとは。しかも、意図的に、だ。
 誰かに騙されたんじゃない。ほとんど、自分の意思で。


 ………………いや。騙されたのだろうか?

(自分が? …まさか。)

 冗談じゃないわ。

(あの、バカでどーーっしようもない小娘なんかに?)

 でも、どうして?


 人を騙すのは案外疲れる。
 基本的に「得をするならば、そのための努力はする」といったスタンスで、何とも自分のために生きているような男ではあるのだけれど、良くも悪くも、その努力に向かう姿勢は、純粋そのものだったりする。
 今回だって、観察眼を光らせ、相手の弱点を見抜き、勝つためにはそれをどう巧く利用するか、あの手この手を隈なく思考し、チームを勝利に導くための努力を怠らなかった。
 その疲労感は想像を絶するもの。負けるにも、気力と体力を追いやられるが、勝者の精神だって計り知れない。
 そう。途中までは勝者の精神だったのだ。勝利への舵をとり、敵を手駒にするために、焦りと少しの楽しみを忍ばせた汗を滴らせ、ゲームに精力を注いでいた。まるで獲物を追う肉食獣のように。
 しかしその努力は一気に水の泡に変えられたのだった。あ・の、バカ正直な神崎直に。

(あ〜ないない! ありえないったらないわっ!)

 とにかくフクナガの精神は疲労困憊していた。

 ──その上の苛立ちである。

(直ぉぉ〜〜っ!! 何なの! 人がせっかく勝とうと必死で戦ってたのに!! わかってんの? あぁん?!)

 嘘でした、なんて許さない。だいたいその台詞は、自分の十八番だっつーの。バカなくせに、何もわからないくせに、いっちょまえに、騙してんじゃないよぉぉっ!!


 ガッシャーンとテーブルの上のグラスに八つ当たりすると、当たり前のように、グラスの水は床に零れ落ちた。
 …どうせなら、その水、全部自分がかぶってやりたいわ。
(どっか行ってくれないかしら。このもやっとした気分)

 とりあえずは、八つ当たりも済んだということで、幾分、気持ちは落ち着いたようだった。
 ただ、解せないのは、自身の行動である。
 あの時、ああすればよかった、こうすればよかった、と思うのは、損得を勘定するフクナガにとってごく自然なことだ。
 けれども、なぜ負けようとしたのか、という悔いは、どうにもおかしな反省である。

(負けようとしたのではない)

(あの娘の言葉に従ったんだわ)

 真実の波紋が胸に広がるのを感じる。



 目先の欲に溺れなかったことも、チグハグな行動をしたことも、今頭の中でいっぱいなのが神崎直だということも、フクナガにとって、とうぶん難題なのだ。
 おそらく、謎が解けたとき、ライアーゲームがちっぽけに思えてしまうくらいには。




Written by lily-enne. 2010 




むっちゃ素敵な作品を頂きますしちゃいました!!!!
自慢!!!自慢!!!!!!
見てください、この美文〜〜〜!!!!!
雌豹YUJIがご降臨されてむしろ私が獲物にされたい!!!みたいな
でも猛獣使いの直たんにやっぱり懐柔されちゃってて、全オタクを揺るがす限りない萌えすが、今、ここに…!!!!
は〜直たんにKOIしちゃってるって、はやく気付けばいいのに^^!!!!!ライアーゲームがちっぽけに思えるくらい、直たんにKOIしちゃってるってはやく気付けばいいのに^^^^!!!!!!
ていうもどかしさが、絶妙すぎて、悶え転げるしかありませんね…!!!!!

ユリしゃんの素敵サイトはこちらから☆